外国人を適正に雇用するためのルール
外国人が適正に就労できるよう事業主が守らなければならないルールや配慮が必要なことがあります。是非こちらのご覧になり、適法・適正な外国人雇用を実施し、外国人が在留資格の範囲内で能力を十分に発揮できるようして頂きたいと思います。
事業主の責務を大きく分けると以下の2点となります。
①雇用・離職時の届出義務
外国人の雇入れ及び離職に際には、その氏名・在留資格などをハローワークに届け出る必要があります。
②適切な雇用管理
「外国人労働者の雇用管理の改善に関して事業主が適切に対処するための指針」に基づき、職場環境の改善や再就職の支援に取り組んでいく必要があります。
では順にみていきます。
①事業主の外国人雇用状況の届出義務
労働施策総合推進法に基づき、外国人労働者がその能力を適切に発揮できるよう、外国人を雇用する事業主には、外国人の雇入れ、離職の際に、その氏名、在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています。
届出の方法について
外国人雇用状況の届出方法については、届出の対象となる外国人が雇用保険の被保険者となるか否かによって、使用する様式や届出先となるハローワーク、届出の提出期限が異なります。
〇雇用保険の被保険者となる外国人の場合( 雇入れ時)( 離職時)
雇い入れ時は、雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)を、離職時は雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)を雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に届け出て下さい。
電子申請により届け出ることもできます。
〇雇用保険の被保険者とならない外国人の場合( 雇入れ・離職時)
外国人雇用状況届出書(様式第3号)を外国人が勤務する事業所施設(支店、店舗、工場など)の住所を管轄するハ
ローワーク(公共職業安定所)に届け出てください。電子届出により届け出ることもできます。
■外国人雇用状況届出システム
https://gaikokujin.hellowork.mhlw.go.jp/report/001010.do?action=initDisp&screenId=001
010
②外国人労働者の雇用管理の改善(努力義務)
外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が努めるべきこと
■ 外国人労働者の募集および採用の適正化
募集に当たって、従事すべき業務内容、労働契約期間、就業場所、労働時間や休日、賃金、労働・社会保険の適用に関する事項等について、書面の交付等により明示します。
■ 適正な労働条件の確保
均等待遇(差別的取り扱いをしない)・労働条件の明示(外国人が理解できる方法で明示する)・賃金の支払い(最低賃金以上の支払い)・適正な労働時間などの管理(法定労働時間の上限規制遵守や休日の確保)・労働基準法などの周知(労基法など労働関係法令の遵守)・労働者名簿等の調整・金品の返還(在留カードや旅券を保管しない)などに配慮する必要があります。
■ 安全衛生の確保
安全衛生教育の実施・労働災害防止のための日本語教育等の実施・労働災害防止に関する標識、掲示等・健康診断の実施等・健康指導及び健康相談の実施・母性保護などに関する措置の実施・労働安全衛生法等の周知など外国人材が安心・安全に職業活動を継続できる環境を築く努力が必要です。
■ 労働・社会保険の適用等
制度の周知及び必要な手続きの履行など
社会保険【健康保険・年金・雇用保険・労働保険】に関する制度や保険給付手続き、また離職時の健康保険や年金についての切り替え手続きなどの情報を外国人材が理解できるよう努める。
外国人の中には、日本の健康保険制度や年金制度をよく理解できていない方が少なくないでしょう。労働災害時の請求手続きや健康保険傷病手当の支給手続きなど、また障害状態になったときに障害年金が支給されること自体知らない場合もあると思います。
6ヵ月以上公的年金に加入した外国人は、帰国後一定期間経過すると脱退一時金が請求できることや、請求を検討する際の留意事項についても教示してあげた方が良いでしょう。
■ 適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
①適切な人事管理→職場における円滑なコミュニケーション環境のもとで、初めて能力を発揮できる。
②生活支援→言語・生活習慣・文化・風習などの理解を深める支援が必要です。
③苦情・相談体制→苦情・相談の窓口の設置し、必要なときは行政機関の相談窓口も案内してあげる。
④教育訓練の実施→教育訓練の実施その他必要な措置を講ずるように努めるとともに、母国語での導入研修の実施等働きやすい職場環境の整備に努めること。
⑤福利厚生施設→適切な宿泊の施設を確保するように努めるとともに、給食、医療、教養、文化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、十分な機会が保障されるように努めること。
⑥帰国及び在留資格の変更等の援助→帰国相談や在留資格変更相談、また一時帰国を希望する場合は必要な援助
■ 解雇等の予防および再就職の援助
やむを得なく解雇する場合の再就職の援助や女性外国人の婚姻や出産などを理由に不利益に取扱わないこと。
■ 外国人労働者の雇用労務責任者の選任
外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、この指針に定める雇用管理の改善等に関する事項等を管理させるため、人事課長等を雇用労務責任者として選任すること。
■ 外国人労働者の在留資格に応じて講ずべき必要な措置
①特定技能の在留資格をもって在留する者に関する事項
出入国管理及び難民認定法等に定める雇用契約の基準や受入れ機関の基準に留意するとともに、必要な届出・支援等を適切に実施すること。
②留学生に関する事項
新卒者の雇用の際は、在留資格変更許可申請が必要であること、また学生のアルバイト雇用の際は、資格外活動許可をもっているか確認するとともに、週28時間以内の労働時間制限に留意すること。
外国人を雇用する際には、必要な手続きや努力義務があります。必要な手続きを忘れてしまったり、留意点を見落として雇用してしまうと、外国人だけでなく所属機関である事業者も罰せられてしまいます。
外国人雇用に関する疑問・ご質問がありましたら、お気軽に当事務所までご相談下さいませ。